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苦いコーヒーに甘みが欲しいとき、料理での味付けに、またお菓子作りでも欠かせない、砂糖。
さまざまな場面に使うことがあるかと思いますが、実は砂糖には甘くする力だけでなく、調理性において優れた働きがたくさんあるのです。
砂糖は、糖質の種類では少糖類(二糖類)のショ糖を主成分としています。
ショ糖とは、単糖類であるブドウ糖と果糖の二つがくっついた構造をしており、甘味料として広く使われており、甘味も強くなります。
ちなみに、他の糖質の甘さの違いになります。
種類 | 甘味度 |
ブドウ糖 | 0.60~0.70 |
果糖 | 1.20~1.50 |
水あめ | 0.35~0.40 |
ショ糖 | 1.00 |
乳糖 | 0.15~0.40 |
※ショ糖を1.00とした場合
また、糖質は身体内で分解され体を動かすためのエネルギー源となりますので重要な栄養素とも言えますよね。
そんな、砂糖の味付け以外の調理性をご紹介しましょう。
保水性
①でんぷんの老化を防止する
例に、ぎゅうひや団子があります。
砂糖の親水性がでんぷんの老化抑制に寄与しており効果があります。
ぎゅうひや団子が、時間がたっても固くならずもちもち感を保てるのは、砂糖のおかげなのです。
②ゼリーの離水を防ぐ
こちらも砂糖の保水性が働き、ゼラチンや寒天と混ぜることで形になります。
ゼリーのぷるぷるはまさに砂糖の保水性によるものですね。
たんぱく質変性抑制効果
①熱変性を抑制し、やわらかく仕上げる
これはまさに卵焼きをふっくら、やわらかくする方法として利用されます。
熱を加えることで食材の変性が進み、固くなることがありますが砂糖はこれを抑制する働きがあります。
ふわふわのオムライスやホットケーキなど作りたいときは、砂糖の熱変性抑制効果を利用して調理するとよいですね。
②卵白泡の安定性を高める
こちらはお菓子つくりで経験のある方も多いのではないでしょうか。
そう、メレンゲを作る際、卵白と砂糖を一生懸命泡立てると、きれいなツノが立ったメレンゲができますよね。
砂糖が卵のたんぱく質変性を抑制し、安定性の高まった卵白泡になるという働きをしたということです。
物性への作用
①ゼリーのゲル強度を高める、ペクチンのゲル化を促す
ゼリーに含まれるゼラチンや、果物などに含まれるペクチンのゲル化を進めます。
ゲル化とはゾルといい流動性のある状態から、粘度が増し固体状になることをいいます。
ゼリーの弾力性などは砂糖による物性の変化ですね。
②グルテン形成を抑制し、サクサク感、もろさを出す
こちらも、お菓子作りでよく利用され、クッキーやパイ生地、タルト生地が例となります。
グルテンとは、小麦粉に含まれるたんぱく質の「グルテニン」と「グリアジン」が絡み合いできるもので、うどんやパンのもちもち感や弾力のもととなります。
砂糖はこのグルテン形成を抑制し、クッキーなどのようにサクサク感、もろさを出します。
着色・着香作用
①メイラード反応を促進し、よい焼き色と香りを出す
メイラード反応(またの名をアミノ・カルボニル反応)とは、調理・加工の際に食品中のアミノ化合物とカルボニル化合物が反応し、最終的にメラノイジンという着色化合物を形成し、褐変化する反応です。
よい焼き色と香りを発生させ、例としてしょうゆや味噌の香気成分、パンやベーカリー製品の焼き色、香気があります。
防腐・抗酸化作用
①微生物の繁殖に必要な水分を吸収する
こちらの例はジャム、マーマレード、ようかんなどがあります。
糖に、自由水(微生物繁殖に必要な水分)を結合させ、水分活性を低下させることで微生物の増殖を抑制させます。
ビン詰めにされたジャムやマーマレードが常温でも長持ちするのは、砂糖のおかげでもあるのですね。
②共存する油脂の酸化を防ぐ
こちらの例もクッキーや焼き菓子などでいえますが、通常油脂が酸化すると不快な臭いなどを発生させますが、砂糖共存させることで油脂の酸化を防ぎ、劣化を抑制する効果があります。
まとめ
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砂糖を調理に使うだけで、こんなにも効果や特性があるなんて驚きですよね。
普段何気なく入れている砂糖。
作用を知るだけでも、今後のお菓子作りや料理に役立つはずです。
近年健康志向が高まる中、「おいしさ」と「健康」の関係は重要だと考えます。
人が口を通して食べることの意味、栄養摂取にとっておいしさが人の心身の健康に大切だと実証されています。
食品の特性と調理による変化を理解し、おいしさを作り出す調理法。
ぜひ皆さんも意識してみてはいかがでしょうか。